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今回のコンフェレンスでのセミナーや競技会は、ビデオ撮影はもとより 写真撮影も一切禁止でしたので、文と写真が合わない事があります。あしからず・・・。 |
Atilla練習デモ ランチタイムをはさみ午後の部が始まる。 その前に、お昼休みを利用してAtillaとFlyのトレーニング・デモが用意されていた。 無知な私はデモと言う言葉から、沢山のトリックなどが見れるショータイプの楽しい ひとときを想像していたのだが、全く違っていた。 始まってみると技術的な説明が主な上、マイクを使用していないので、 遠くでAtillaが佇んでいる位にしか見えない。 ・・という訳で、彼らのダイナミックな演技は明日のコンペティションまでお預けとなった。 ところが、「私はフライのファンなんです」という佐藤さんは、説明の間もAtillaの顔を覗き込み 脚側に顔をピッタリくっ付けているフライに釘付け。 今、愛犬ナナとの理想の脚側を模索中の彼女は目を離せるはずがない。 私は昼食のクロワッサンサンドをゆっくり食べる事が出来たが彼女は・・・。 「ゆっ子先生、食べたんですか〜」 「は〜い、残ね〜ん」 (天使が舞い降りた??) 日本を発ってから英語に悪戦苦闘中の私達に天使のような方が登場した♪ |
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(夜の食事会) ホテルの部屋へ帰り緊張の糸が切れると、いっきに疲れが押し寄せてきた。 今夜はWCFO会長のPatieに夕食に誘われていたが、時間に余裕があり安心した為、 いつのまにか二人共眠りにはいっていた。 「ジリリリリ〜ン」突然電話のベルがなる。 ためらいも無く受話器をとってしまったが、何を言ってるのか理解できる筈がない。 「ちょっと待って!」動揺して日本語で答えてしまった。 「誰からですか?」と佐藤さんに聞かれたが「何て言ってるか解らん、代わって・・」と、 受話器を放り投げるように手渡した。でも代わった時は既に電話は切れていた。 「ユッ子さん日本語で答えてましたよ!」「・・・」 待ち合わせの時間も迫っていたのでモヤモヤした気持ちのままロビーに急いだ。 ところが時間が来ても誰も来る気配が無い。訳の分からない電話の後だけに余計に心配になる。 「置いて行かれたのかなぁ〜」「待ち合わせ場所ここでよかったよね〜?」 不安になっていた所へ里子さんがやって来た。 「明日のコンペティションの機材がまだ来てないみたいで待ち合わせの時間が一時間遅れるみたいよ。」 その事でPatieや関係者は右往左往しているらしい。 私達は予定を変更して、水と少しばかりの食料調達の為に里子さんの車でダウンタウンへ買い物に出かけた。 (私達の滞在した所は田舎の為、歩いて買い物にいける場所がなかった) 食事会は私達の他に、WCFO創立当初からのメンバーのAnna夫妻やオーストラリアからの 講師Lucille Ellenと友人も一緒に招待しているようだ。 行きの車中も色々な話題に花が咲いたが、Annaも日本のフリースタイルを高く評価してくれている事が 解かり嬉しかった。 食事中の話しから、Patieはハイテンションで明るく楽しい人柄、 Annaはとても優しく、包容力豊かな母を思わせるような人柄、 Lucilleは見た目におっかないかな?と思っていたが、すごくユーモア溢れるお茶目な性格の人だと 言う事等がわかり、私達は少しずつリラックスしていった。
この席で私たちはPatieから意外な話を聞かされた。 「WCFOに日本人の会員は現在どの位いますか?」の問いに、 「そうね、250人位かしら?でも日本では少なくとも、その倍の人がフリースタイルを楽しんでいるはずよ!!」 自分の国の事が全く把握出来ていない私達は「えっ、そんなに居るの?」とPatieに聞き返してしまった。 そして、この答えにはチョッとビックリした。 最近日本でも、FSが少しずつ業界誌やマスコミに取り上げられるようになり、 それなりにファンシャーも多くなっては来ているが、実人口がそれ程いるとは思えなかった。 ファンシャーが多くなれば当然のようにレベルもアップしてくる。 そこで私はある事をPatieに訊ねた。 「最近のフリースタイル界は年々レベルが上がってきているが、レベルが上がるほど新しいトリックや沢山のトリック、 あるいは難度が高いと思われるトリックを取り入れたりする事が望ましいのか?」聞いてみた。 聞く前から答えは分かっているような質問だが、Patieは即座に答えた。 「フリースタイルは曲とルーティンの調和で、観衆をどれだけハッピーに出来るかがポイントよ!」 予想通りの答えだが、Patieの口から直接その答えを聞くことで私は少しホッとした。 フリースタイルをしていると、新しいトリックの習得のみに多くの時間を費やしがちになる。 「フリースタイルと言えど、一番大切な事は嬉々としたヒールウォークとポジショニングの正確さ・・」 いつも所長から諭され、そう信じてはいるのだが、私のルーティンは他の方に比べ明らかにトリックの数が少ない。 少しばかりのストックはあるのだが、無理して入れるほどの事はないし、その余裕も無い。 今、ポジショニングの強化と少ないトリックでバリエーションを増やすという課題で練習している私は 「それでいいんだよ」と言われたようで、とりあえずひと安心。(勝手に解釈) 楽しい食事会はアッという間に終わった。 ホテルの部屋でセミナーの事などをノートに整理していたが、疲れと睡眠不足もあり、またもや睡魔が私を襲ってきた。 ノート整理中の佐藤さんに「先に寝るね。」と言ってベッドに入ってはみたが、どうも枕が合わない?? 普段から些細な物音でも、すぐに目を覚ますタイプの私はなかなか寝付く事ができなかった。 この夜は、結局朝方までこの日のセミナーについての討論をする事となってしまった。 いよいよ今日は“Pro-Sters Competition”だ。 |
5月13日(金)AM Whirl Competition & Pro Stars Competition (いよいよコンペティション当日・・) 今日は朝から興奮していた。 いよいよ今日は Competitionの日だ!! 午前中が一般参加も可能な“Whirl Competition”で、午後からが“Pro Stars Competition”の予定になっている。 たくさんのフリースタイラー達、そしてトップフリースタイラーをこの目で見る事が出来る。 この旅一番の目的である「Sandra & ペッパー」のデモと「Atilla & フライ」の演技を生で見る事も出来る。 私もこの競技会に出場するのだが、今はまだ緊張よりワクワクの気持ちの方がずっと強かった。 まずは“Whirl Competition”から・・ 開会式・・ 会長の挨拶などが終わり参加国の国歌が流れる、 勿論その中に我が「日本」の国歌も流れた。 午前中は参加資格に制限の無い“Whirl Competition”が行われHeelWork-To-Musicから開始された。 始めたばかりなのか、衣装は派手だがワンちゃんの動きがいまいちの人もいた。 しかしここはアメリカ・・、そんな事にはお構いなしで陽気にルーティンをこなしていく。 思い思いの衣装を身に纏い愛犬と楽しく演技する姿は、それだけで充分に楽しめる。 この部門には私達の出迎えを手配してくれた、今回のコンファレンス責任者のDonna Ballさんも出場していた。 彼女を観察?していると、とてもロマンチストに見れるのだが、 今回の作品もウェディングドレスのような純白の衣装を身に纏い、エーデルワイスのワルツの曲に乗って 愛犬と楽しくステップをきざむというものだった。 「HeelWork-To-Music部門」が終わり「Musical Freestyle部門」が始まった。 最近の傾向として小道具を手に持ったり、リンク内に置いてそこを廻したり、犬だけをそこに移動させたりと、 小道具を使う演技が目に付くが、この日も何組かのペアーが可愛く飾られた小道具をリンク内に置き演技していた。 なかには小道具とはいえないような大道具並?の物もあった。 この事は後日のセミナーでも討論の課題になっていた。 "リンク内での小道具も手に持つ道具もCueになってはいけない"事など解っては いるけど基準が明確でない為、今からも課題として残っていく事になるだろう。 競技は順調に進行していたが、私の目は競技リンクに向けながらもいっぽうで、 腕組みをして椅子に座り、微動だにせず厳しい目付きでリンクに目を向けるSandra Davisの姿を追っていた。 競技は盛会で午前中に終わる予定だったが終わらず、何組かを残して一旦休憩が入った。 そしてサンドラ登場! いよいよ待ちに待った「Sandra & ペッパー」のデモンストレーションが始まる。 今回の旅の目的のひとつだった大イベントだ。胸の高まりは最高潮・・ キリッと決まったコスチュームに年齢を感じさせない姿勢、そしてこれまた年齢を感じさせないペッパー(11歳)が、 いざ踊らんと・・リンク内に登場して来た。 アナウンスが「Sandra & ペッパー」を紹介する。 立っているだけで気品がにじみ出て、オーラさえ漂っている。 地元のテレビクルーも慌しく動き出す。 会場内の熱気は一気に絶頂へ・・ そして音楽が流れ出す。 ビデオで何度も何度もみたペアーが目の前で踊っている。 ひとつひとつのルーティンに少しの狂いも無い。やっぱり凄い!! 私はビデオで初めてこのペアーを見た時と同じ感激をしていた。 しかし、3分ほどのルーティンはあっという間に終わった。 デモが終わったあとで「Sandra & ペッパー」を見る為に4時間かけて来る筈の人が、 まだ到着していない事がわかった。 ところがSandraは、その方たちの為に、当初一回だけの予定のデモをもう一度演技する事を快く引き受けた。 私達はこの日二度も彼女達の演技を見る事が出来た。得した気分になった。 憧れのサンドラと・・ ピンと伸びた背すじ、気品漂う物腰の何処からも、ふたりの年齢をうかがい知る事は出来ない。 すっかりミーハー気分の私達はTV取材準備中の忙しい彼女をつかまえて、記念写真のおねだりをしたのだが、 Atillaとの激しい討論を見ていたからか、怖いくらいの迫力を感じた。 (でも本当はとても優しく気を遣ってくれたんですよ。) 後日、彼女の事を知らない実習生達に、この時のデモビデオを見せて年齢当てをさせたら 殆どの人が30代の年齢を言った。(ちょっと画面が暗かったせいもありますが・・) 実際には70歳を過ぎたと聞いたが、とてもとてもそうは見えなかった。・・・。 「私もペッパーと同じくらいの年齢、でもペッパーの方が確実に先に死ぬわ・・」と、あっけらかん。 「この子を看取ってあげなきゃいけないので、老け込むわけにはいかないの・・」とでも言いたそうに・・。 今回のアシュビル行きを決意させた大イベントのひとつは、こうしてあっという間に終わってしまったが、 この後もまだ沢山の出来事が私を待っていた。 |
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(アッシュビル滞在記・V)へ・・つづく