WCFO International Freestyle Conference に出席して・・

(アシュビル滞在記)
   旅人:島田有紀子



 今回のコンフェレンスでのセミナーや競技会は、ビデオ撮影はもとより
写真撮影も一切禁止でしたので、文と写真が合わない事があります。あしからず・・・。

アッシュビル滞在記(W)・・♪♪


  講師:サンドラ・デーヴィス

 さて、今日三つ目のセミナーはいよいよSandraによる、K-9DRESSAGEのセミナーだ。

 以前から聞き及んでいた為少しばかり興味があり、この講習は楽しみにしていた。
まずはK-9DRESSAGEの意義から話は始まった。
色々述べていたようだが「I can't understand English」。
しかしSandraは「K-9DRESSAGEもフリースタイルもオビディエンス競技」、
必死に基礎的なポジショニングと基本的な形の習得の大切さを説いているように私は感じた。 

 K-9DRESSAGEはノービス・インターメディエイト・アドバンスと三つのクラスに分かれていて、
ノービスクラスはON- LEASHとOFF-LEASHがある。
Sandraは犬を使いながらコース及び規定の説明をはじめた。
ノービスクラスは1〜6までのシーケンスに分かれている。
各シーケンス自体は短いが、1〜6を続けて覚えるのは結構大変かもしれない。
コース自体は単純で難しいトリックも入っていないが、基本となるポジショニングは決して容易ではない。
それにK-9DRESSAGEでは、ハンドラーが動きを止めても、ひとつのシーケンスが終わるまで
犬は動き続けなければいけないという規定がある為、コマンドに対する確実性が必要となる。
ましてクラスが上がるほどコースも複雑でトリックも難易度が高くなり、
かなりの熟練度が要求される。

 続いてインターメディエイトとアドバンスを実演してくれたが、
あまりの複雑さにその場で覚える事はできなかった。
今の私にはここまで来ると芸術作品のように見えてくる。
Sandraは「コースも規定もウェブサイトで見れるから覚えてね」と笑いながら言った。

 とりあえずK-9DRESSAGEについての共通規定を分かる範囲内で書いておきます。

 (K-9DRESSAGE共通規定)  

 ※ 服装は正装でスカーフは青か茶(白のブラウスに黒パンツ イメージは馬場馬術)
  (恐らくラフなスタイルでなければ良いと思うのだが,現場では上記のような説明をしていたように思う)

 ※ 必ずNOVICE LEVEL ON- LEASHから始める事

 ※ 途中コマンドは出し続けても良いが、大きな声はいけない

 ※ ハンドラーの姿勢は、美しく保たれた一定の姿勢であり続けなければならない。

 ※ スタート位置は停座・立止どちらでも構わない

 ※ 1シーケンス内での一連の動作は、ハンドラーが止まっても犬は動き続けなければいけない

 ※ フロント作業に移る際、(大型犬)は時間が掛かるのでハンドラーが少し下がっても良い。
  (??この部分は理解に苦しんだ)

 ※ スピンの時、犬がハンドラーの身体に触れてはいけない

 ※ お手・おかわりの際、犬が勝手に下ろしてはいけない

 ※ サイドパス(横移動)の際ヒールポジションが少し後ろになっても構わないが、
   ハンドラーの姿勢は必ず真っ直ぐに保たなければならない(犬はハンドラーに対し必ず平行を保つ事)

 ※ 犬に故意に触れてはいけない

 ※ フェンスに犬がタッチしてはいけない (リンクはフェンスで囲われているのが原則のようだ)

 ※ 途中で失敗した場合はやり続けるが減点

 ※ FINISHは犬もハンドラーもポーズを決める (犬はおじぎ・ハンドラーは敬礼後、手はのばす)

 ※ インターメディエイトからはジャッジは科目を言わないので分らなくなった場合は失格

・ ・と、この程度の規定ではないと思いますが、少しでも理解して頂ければ幸いです。

 イメージ的にはオリンピック等で見られる、馬場馬術の「犬版」と想像すると分かり易いかも知れません。
もちろん、ミュージックは無しです。
K -9DRESSAGEについてはビデオも発売されており、見たほうが分りやすいので興味のある方にはお勧めです。

 結局この講習でも、基本的なポジショニングと基本形の習得が大事だという事を、
繰り返し学んだような気がします。
サンドラが提唱する「K -9DRESSAGE」は、あくまでも「K-9フリースタイル」の技術的レベルアップを
目的としたもののようで、フリースタイルのような音楽は無く、規定に沿って行われるので
オビディエンス競技によく似ている。
K -9DRESSAGEのノービスクラスが出来る様になるだけで、かなりレベルアップするに違いない。
K -9DRESSAGEが盛んになったら、もっともっと素晴らしいフリースタイラーが増える事になるだろう。
ただし私は、ノービスクラスでしばらく足踏みしそうです。



  タレント犬養成で全米NO1の女性トレーナー

 さて今日最後の講習は、Bonnie Buchananの「Showy Acting Dog」というものだった。
Bonnie Buchananは地元ではかなり有名で大きなトレーニングセンターをして、
そこではドッグスポーツの他に介護犬など多岐にわたるトレーニングテクニックを教えているそうだ。
勿論,彼女は現役で色んなドッグスポーツを楽しんでいると言う。

 受講するまでは「何のセミナーなんだろうね?」と話していたのだが、
今回はその中でも彼女が最も得意とする分野で、全米ナンバーワンと言われている、
タレント犬養成の際のテクニックを中心に指導してくれた。
お手の応用・タッチの応用など簡単な事だが、なかなか思いつかないようなテクニックなども披露してくれた。
多くは犬を使って実践するセミナーだった為、見て理解する私には分かりやすく、
時間はあっという間に過ぎてしまった。
 ちなみに彼女の犬は多彩な芸の持ち主だが、なんとBonnie曰く
1200語ものコマンドを使い分けているらしい。
私達は「ホンマかいな!!」と驚いた。
(本当はもっと大きな数字を言ったような気がしたのだが、
勝手にこの位に押さえました)
でも細かい事まで教えている事は確かなようでした。

 これで今日の5つのブースでのセミナーすべてが終わり、
今夜はホテルでパーティーがある。
この時にあらためて昨日の競技会の結果発表と表彰式があるという。
パーティーにはほとんどの関係者や講師陣も参加するという事もあって、
私は何か新しい情報でも聞き出せるのではと胸躍らせていた。
さすがスター!くつろぐ時は専用椅子で・・
  



    Fuzzy Feet Banquet (ソックス・パーティー?)

 パーティーはスリッパや靴下にデコレーションをして参加するという、
日本人には馴染みの薄いパーティーだが、"皆さんお疲れだろう"という、
WCFOの粋な計らいでカジュアルOKのとてもラフなパーティーだった。
パーティーにはその他にも色々な趣向が凝らされていて、
デコレーションのユニークだった人には賞が用意されていたり、
沢山の1ドル札で飾られたハッピーハット(右写真)があたるクジが販売されて
いたりした。

「Fuzzy Feet Banquet」→「あいまいな足晩餐会」。
翻訳ソフトではこの程度しか解らない謎のパーティーも、例の、ある方からの
確かな情報を得ていた私達は、日本から用意してきた花柄の派手な足袋をはく事にした。
それにどの程度をカジュアルと判断するのか、全く見当の付かない私達は
あまり過ぎてもと思い、佐藤さんとお揃いの和柄のキャミソールを着て出席した。

 あとで聞いた話では、コンファレンス会場とパーティ会場でのグッズ販売や
その他の益金は今回新たに設立された、WCFOのオランダ支部設立資金の一部として
全て提供されるそうだ。
HAPPY HAT
 ここでも大物は・・

 パーティ会場に着くと、もう半数以上が集まっていた。
パーティーが始まるまでAtillaやDaniel達と話しをしたりして、その場を楽しんだ。
会長の音頭でパーティーが始まった。バイキング形式なので、それぞれがオサラにとってテーブルに着く。
ここでも、会長の開会宣言などにはお構いなしに、ひとりでさっさと食べ物を皿に盛り、
食事を始めたのはSandra Davisだった。
おまけに彼女は宴もたけなわという頃に、旦那を置いてさっさと帰ってしまったのだ。

「さすが大物は違うね」と佐藤さんと言っていたのだが、
Sandraはこの日、早目にパーティーを切り上げ無ければいけない事情があったらしい。

 皆が席に着き食事をしている間に、会長が今回のコンファランスに貢献してくれた人や、
WCFOへの貢献者に感謝の言葉とプレゼントを贈った。
その後も偉い方?の長い挨拶が続くのでなかなか食事が出来ない。
涙で声を詰まらせながらのスピーチも、言葉の分からない私には何の感動も伝わってこない。(申し訳ないッス)
ケーキを取りに行くつもりでいた私は少しがっかり・・

 いよいよ結果発表! 
  まずはWhirl Competitionから・・

 長い挨拶も終わり、次は競技会の結果発表。
まずはWhirl Competitionの各クラスから結果が発表されていく。
私は現地ですっかり仲良しになったLindaの成績が気になり、聞き漏らすまいと集中。
Lindaは、あの時の観客の拍手どおりの成績で見事にクラス優勝!!
あのDanielもこの競技にも参加していて、クラス別で優勝だ!!
「おめでとう♪おめでとう♪」 みんなで喜んだ。

  続いて、「Pro Stars・・」の結果発表・・

  ところが・・、


 勿論、最初に名前がコールされたのはAtilla & Flyペアーだ!!
予想通りの当然の結果だが、会場からは彼を称える歓声があがる。
席に着く彼を"いつになったら同じレベルになれるのかなぁ〜"と羨ましく思いながら見ていると、
会長の口から私の名前がコールされた。
まさかAtillaの次に呼ばれるなどと想像していなかった私はビックリ。
周りの人に促されながら、信じられない気持ちで前へと進んだ。
私は何をどう表現して良いのか分からない、頭の中は真っ白。
周りの作品が素晴らしかっただけに、全く予想していない結果だった。
たった一枚の写真は後姿!
「遠くからご苦労さんDE賞」が入ってんのかな?と思いながらも、
それでも素直に嬉しかった。
自分の中では一生懸命頑張ったと言う思いもあり、プレゼンテーターからのお祝いの言葉と抱擁に、熱い涙が溢れて来た。

 「何があっても堂々としてなさい」
こちらに来てからは、いつも頭の片隅にあった所長の言葉も、
この時ばかりは、すっ飛んでしまっていた。
「ユッコさん!!」カメラを向ける佐藤さんの声も耳には
入ってこなかった。

 おかげでこの時の写真はたったの一枚、それも後ろ姿・・トホホ。

 結果発表終了後、また賑やかなパーティーに戻る。
会場内は騒然としていたので、廊下が受賞者同士や色んな人との、にわか記念写真撮影会場に早がわりする。
私もAtillaやDanielに促され写真撮影をするが、ここでも沢山の方に祝福される。
メダルを忘れていった私に、「メダルは?・・付けていなきゃ駄目だよ」と言って取りに行かせたアティラの胸には
誇らしげに金メダルが下げられていた。
あのダニエルの胸も「While Competition」のヒールワーク部門とフリースタイル部門で受賞したメダルが飾られ、
タイトル獲得証明リボンが手にもたれていた。
皆は私の想像以上に、この結果を歓迎して楽しんでいるようだった。

表彰を受けるDrアティラ 囲まれて記念撮影 Whirl Competitionの各受賞者も一緒に・・

 そして表彰式!

 しばらくして会長パティーの声で再び席に着く。
今度は表彰式らしい。
While Competitionの各部門から、次々に名前がコールされる。
どうやらこの表彰には色々なスポンサーから色々な賞が贈られているらしい。
犬種別でハイスコアーの人に贈られるトロフィーは、犬の置物風(下写真)になっていて
頭が気に入った犬種にすげ替え可能になっている。
あのダニエルの会社が提供したもののようだった。
「自分で出した賞を自分で貰っちゃった」と嘆いていたので、
ひょっとしたらこの賞も貰ったのかもしれない。
その他にも、衣裳が一番良かった人などに贈られるというユニークな賞もあった。

 私もPro Starsの中で「最高技術点賞」など合計三つの賞を頂いた。
スクールではみんなにシルバーコレクターと言われている私だが、
今回も総合では
シルバーだったが、部門別ではトップを頂いたのでチョッと安心した。
それに価値ある大会でAtillaに次いでの賞だから大満足。
もう二度とこんなチャンスは無いかもしれないと思うと、今回のコンペティション参加を支えてくれた
多くの人に感謝の気持ちでいっぱいだ。
それに、只ひたすら尽くしてくれるジップには一番感謝しなくてはと改めて思った。
 

頭が差し替え可能なトロフィー
Whille Cmpetition の各部問トロフィー
ユニークな名前の付いた賞

 楽しかったパーティーは、Fuzzy FeetのアピールタイムやHappy Hatくじの当選発表などで
大盛り上がりを見せた後に惜しまれながら閉会した。
いよいよ明日は最終日。
今日同様の5つのブースを回ってのセミナーだ。

 ただし、里子さんとはこの夜でお別れ、彼女は一足早く日本に帰国する。
別れを惜しむようにその夜も遅くまで話しこんでしまった。
明朝、早く発つ里子さんはきっと徹夜になったに違いない。

スリッパを自慢しあう参加者 記念撮影はいつも陽気で大混乱 私たちも負けずに会長と!

  写真左から
 イギリスのトップフリースタイラー、アティラ・スカレック
 FS界の神様、アメリカの憧れのフリースタイラー、サンドラ・デーヴィス
 カナダの謎の大物?フリースタイラー、ダニエル
 豪華な顔ぶれに囲まれて・・

 (この写真は私の宝物になりました♪)

 

               今回頂いたトロフィーと銀メダル

       左から 最高技術賞 最高部門賞 総合部門シルバープレート

       前列         総合シルバーメダル

 帰国後のWCFO発表の成績表で分かった事だが、シルバープレートは
   総合優勝のプレートだそうだ。ひとつしかない優勝プレートは私に、
   金メダルはアティラに・・との、WCFOの苦肉の策だったようで、
   後に届いたアメリカ・コーイケルホンド協会の会長さんからのお祝い
   メッセージに「アティラとの同点優勝をコイケルホンド界の誇りに思う」と
   言うような事が書かれていた。何か勘違いしてるんだ・・と思っていたが、
   英語の出来ない私は今でも??)
     

(アッシュビル滞在記・最終章 )