さぁー 始めよう! (フラッシ−ムーブ編)
(フラッシームーブ)

これからの6つの動きは(パラレル・サークル)の2つのカテゴリーに入らないため、
サンドラさんはフラッシームーヴと呼んでいるようです。
 N ハイ (立って歩く)
 O アンダー (股下くぐり)
 P オーバー (ジャンプ)
 Q キック (お手のような動き)
 R ラット (左手のお手)
 S プリティー (お辞儀)
アンダーはサークル編のポロ・ループに似ていますが、
ハンドラーに合わせて動きながらも、犬自身は違った動きを
する事からフラッシ−ムーブにカテゴリーしている様です。


  さぁ〜はじめよう!
 【ハイ / 立って歩く 】

 
 この練習は、ある種の犬にとってはとても簡単なものです。
 特に小型犬などは、好きなものを上にぶら下げて、ハーイ、ハーイと言えば大体立ち上がります。
 しかし、大型犬の場合は、教えなくてはいけません。
 この動きは、もともと犬にとって不自然な体勢なのであまり頻繁にしたり
 長くさせるような事は絶対に避けましょう。

  自力で立ち上がることができないような犬は、ハンドラーの体で支えることになります。
 まず、ほんの少し、両手で持ち上げる事から始め、だんだん高くしていき、出来るようになったら、
 両腕に犬の前脚を乗せるようにします。
 犬が不安を感じないようになってきたら、少しずつ後ろに押しながら動かしますが、
 ご褒美はできるだけ高い位置で。


 
 この場合も焦りは禁物で、むしろ不自然な体勢に不慣れな筋肉や、毎日の貴方の猛特訓から来る
 筋肉痛を、ほぐすような形で徐々に慣れさせて行きましょう。


 【アンダー / 股下くぐり

 
 8の字の股くぐりとくぐり歩きです。
(ポール・ループ)によく似ていますので、(ポール・ループ)を基本にして練習してみましょう。
 出きる様にようになったら、歩きながらやります。この時も決して初めから歩数を伸ばす事に
 重点を置くことの無い様にして下さい。


 
 全ての動きを教えるときと同様に、犬が楽しんでいる内に、遊戯的な事やフード等で・・

【オーバー / 足飛び・腕飛び】

  ほとんどの犬は、人の足を飛び越えることになれてないので、まずアジリティのポール等
 を使って練習します。ジャンプになれていない犬の場合は、段ボールやビールケースのような台の上に
 ポールを載せて練習すると良いでしょう。
 まず人が一緒に、次には横に立って、オーバーと言って飛ばせます。
 出来るようになったら、箱ひとつの上にポールをバランスをとって載せ、片手に犬のリード、
 もう一つの手にボールなどを持ち、円を描きながら飛ばせます。次は人がポールにまたがる形で立ち、
 犬に同様に飛ばせます。これが出来るようになったら箱をどかします。

  又、ポールに紐をくくりつけ、端っこをベルトに固定したり、首からぶら下げたりしてする事もあります。
 ポールを足に見立ててぶら下げて同様に練習します。
 出きる様になったら、徐々にポールと足の違和感を無くす様にして行きます。
 上げたほうの足を、オーバーと言いながら飛ばせます。

  同様に、腕飛びはポールを自分の腕に見立てて飛ばせます。
 最初は手がポールの下で上向きになる様にして、慣れてきたら手を上におきます。
 小型犬は、つま先を使って練習しましょう。
 ヘルパー(補助者)に手伝って貰うのも良いでしょう。
See Photo?


 【キック・ラット / お手のような動き】

  向かい合った状態で両手のお手を教え、出来るようになったら、少しずつ高くしていきます。
 次に、横に立って同様に練習します。
 手の代わりにつま先に犬の前脚が乗るようにし、交互に出来るよう練習します。
 最終的には、足を交互に上げると、まるで犬自身もハンドラーに合わせてキックして
 いる様な動きが完成する様にして下さい。
 よく見なれた「お手・お変わり」が、非常に愛らしい、コミカルな動きに変身します。
See Photo?


 
【プリティー / お辞儀 】

 大きな犬の場合は横に膝まずき、左手をおなかの下に入れ、右手にご褒美をもって前足の間に
入れるような形で誘導します。
犬がご褒美を咥えたところで上から抑えて形を作り誉めます。抑えるといってもあまり無理をしてはいけません。
後ろに押しながらたたみこむ感じです。あくまでもご褒美で6・7割の姿勢を確保する様に努めて下さい。

 
お辞儀は最後の挨拶、キメのポーズに良く使われますが、最後のキメポ−ズにだけ使うのであれば、
工夫次第で、もっといろんなポーズが考えられます。
逆に考えれば、「お辞儀」は工夫次第でもっと他の個所にも使えるかも知れません。



 【ウェイト / そのまま待て】

  これは、次の指令を出すまで、立った状態で動かないでいる事。
 必ず、軽い抵抗をかけても(軽く引っ張るなど)あくまでも、立ったままで待っているようにしますが、
 このとき、あまり強く引いたり刺激する事は避けましょう。
 この時はご褒美は使いません。ご褒美がほしくて興奮したりすれば意味がなくなるからです。
 むしろ、ボールなどは、反対の目的、誘惑に打ち勝つための道具として使います。
 これは、コンスタントな練習が必要です。

  【その他の動き】
  今までに紹介した動きで、充分過ぎるくらいですが、これらの動きの全てが出来るようになるには、
大変な努力が必要ですし、経験も必要になってきます。経験を補足してくれるインストラクターが、
そばにいる方はラッキーですが、そうでない方、これらの一部しか教える事が出来なかった方でも
現在出来る動きの一つ一つを、別々な動きとしてとらえないで、二つの動きを合わせる事によって、
全く違った動きに変身する場合があります。
又、日頃犬と遊んでいる時、よく観察をしていると、その子独自の特徴ある動きをする事があります。
それを動きの一部として強化していく事なども考えて下さい。

 又、動き(技)には、ここに紹介されていない沢山の動き(技)があります。
スクールの生徒さん達がよく使う動きに、バックでのサークル・ウィ・ポール・ループなどがありますが、
これらは非常にダンスらしい動きで、観客の人気も高い動きのひとつです。
この他にも半回転反ひねりのクイック(スクールでのコマンド)など考えれば沢山の動きがあります。

 基本的にフリースタイルは、犬にとって危険な動きでなければ、自由な発想で、独自の動きを開発する
 楽しみもあります。自由な発想で楽しんで下さい。

動きとコマンド編の最後に・・
 
  
ここまでで、色々な動きや、それを表現するコマンド等の紹介をしてきましたが、もう一度言っておきます。
 これらは、あくまでも参考的な動きであり、コマンドであるべきです。

  私は以前、馬に「お辞儀」を教える時に、前足の間に頭をぐっと差入れるような「お辞儀」を、
 『へッディン』 ※ヘッド・イン、片足を折り曲げながら、前かがみになるような「お辞儀」を、
 『ヒーリン』※ヒール・イン、・・と言うコマンドで教えていました。
 今もスクールの生徒さんから、お辞儀のコマンドを聞かれたら、これらのコマンドを教える事にしています。

  今、ひとつの考え方として、新しくフロント・バック・ジー・ホーを、教えている犬のハンドラーには、
 これらの動きの全てを、『フロント』のコマンド一つにまとめて教えていく様に指導しています。

 この考え方としては、「私が“フロント”のコマンドをかけたら、私がどの様な動きをしようと、
 貴方(犬)はフロントの位置をキープしなさい。」と言う考え方で、オビディエンスにおける
 ヒールポジション・キープの考え方と同じです。
 だから、インとムーブにも、この考え方は当てはまると思います。

 
ヒールポジションの大切さを理解している方であれば、必ずこの意味が理解出きるはずです。

  ケーナイン・フリースタイルの歴史はまだまだ浅く、始まったばかりで、世界的なレベルもガイドライン等も、
 今から益々改善されていく事でしょう。
 事実、WCFOの競技規定の、細部にわたってのガイドラインなどは、毎年の様に改善されていますし、
 まだ歴史も無い、私達のレベルでさえ、日を追う毎に向上しているのですから、
 言うまでも無く、世界のケーナイン・フリースタイルのレベルは確実に向上している様です。

  私達日本人は、この様なものを取り入れる時、今までに習得した自分達(日本人)の持っている
 素晴らしい部分を忘れ、つい、響きの良い欧米のコマンドや教え方に傾注し、全面的に(むしろ盲目的に)
 受け入れてしまいがちですが、惑わされる事の無いようにして、欧米の方達の持つ、
 素晴らしい部分のみを取り入れたいものです。
                                                        −Andy-
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